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12.02.16

3Dの考察と実践 #4--振り向きドラゴン「嘘」と「真実」


2年くらい前だったか少し評判になった「振り向きドラゴン」

随分前に家電メーカーの仕事をしていたときクライアントの担当のかたが絵の上手い方で、リアルイラストレーションやペーパークラフトを公開されていた。いつか私も作ってみたいと思いアイデアを考えていて今さらながらふと思い出した。
ネットにあがっている映像を見ると、いろいろと角度を変えてもドラゴンの目は追いかけてくる。やっぱり不思議である。

どんな仕掛けがあるのだろうと、型紙をダウンロードして作ってみた。
ペーパークラフトとしては、とても簡単な部類で15分もあれば作れてしまう。さて出来上がったドラゴンを片手に持って期待して動かしてみるのだけれど一向に振り返ってくれない。

なぜだろう?
ネットに上がっている物は映像が多い。つまりカメラ視点で人間の目のような2つの目で捉えた画像ではないことに気づき今度は片目ををつむって見てみた。
するとしばらくするとフッと違う次元に入ったようにいきなりドラゴンの視線は私を見つめ返してきた。



そもそも2次元の平面に3次元を表現すること自体が嘘な訳であるけど、まるで手が入るかのように見える平面における空間表現は、基本的にはモノに光が差したときにできる明暗の序列の再現によって表現したものだ。
このドラゴンも明暗を利用して実際は手前にある耳が奥に、奥にある口の先端部が一番手前にあるかのように見えるだまし絵のような物だが、それを3次元のペーパークラフトという立体に落とし込んだところが凄いアイデアだと思う。よくまあ、こんな簡単なペーパークラフトでこのギミックを作り出せたなと感心する。



面白いのはそんなからくりを頭にたたき込んだつもりでも、やはり目は騙され続けるということなのだ。
一度このモードにはいると、今度はこの見え方から逃れられなくなるのだ。
このことはモノに起こっている事象だけでは、モノの真実の姿を知ることはできないと言うことや、即物的な情報に容易く騙されてしまう知覚やまたその知覚に支配されるということをよく教えてくれる。
先人の知識が無ければ、いまだに私には太陽が地球の周りを回っているようにしか知覚できないだろうけれど、騙されたモードから抜け出せない私は、ちょっと自身喪失になりそうだった。

もしデッサンの上手い人がこのドラゴンを描いたらそのデッサンはどう見えるだろうか?
描画の場合は一番に立体物の構造を追いかけるので前後の関係を間違えるわけはないし、さらに錯視を利用した視覚調整という誇張手段が使えるので、その人の意図通りに表現を「真実」のようにも「嘘」のようにもコントロールする事が可能ということになるだろう。
しかしながらやはり「嘘」は面白いのである。
「真実」と「嘘」というコンセプトはアートに展開しても面白いコンセプトが考えられそうだ。

私はだまし絵が好きでは無いが、私たちの視覚という認知のうえに起こってくることを考えてみるのは面白いことだ。
例えば、私の好きな作家ジェームズ・タレルの直島での「家プロジェクト 南寺」は強烈な体験をもたらせてくれるが、目をこらして凝視する真っ暗な闇にやがて浮かびだすのはタレルの造形ではなく、私たちの目に焼き付いた微かな残像である。
私たちは実は自分自身のまぶたの奥底にある「像」をタレルの作品として見ているのだ。

15分でできる簡単なペーパークラフト、いや単純に面白いですよ。


型紙DL

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岩谷浩一
グラフィックデザイナー
design lab.geo 代表
大阪在住
余暇は、もっぱら音楽三昧。

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